無事にこんぴらから帰って来ました。千穐楽の後すぐに仕事で高知県に行っていたので、正確を記せば、高知からの帰館です。
こんぴらでの裏話を二つ程、紹介いたしましょう。
何故僕が突然坊主頭にしたのか、疑問に思った方もいらした様です。それには理由がふたつあります。そもそも僕は髪の量がとても多く剛毛で、立役の鬘が形良くきまりにくいという悩みがあります。大役ばかりを頂戴した今回のこんぴらでは、自分に気合いを入れる意味と、頭の形を良く見せたいという考えで、思い切って坊主頭にしました。ビックリなさった方もいらっしゃると思いますが、ご理解頂けましたでしょうか。
舞台稽古の際、「双蝶々・角力場」の二回目の早拵えが間に合わず、稽古を中断させてしまいました。原因その1は、金丸座の舞台が通常の劇場より小さいという事でした。そのせいで、早拵えの為に用意されている「時間稼ぎ」の演技が、思いの外短縮されたのです。原因その2は、力士役に相応しい体型を作るため、僕が着物の下にいっぱい着込んでいたものの処理でした。これらの取り外しに手間取り、無駄な動きが増えたのです。初日を前に色々と反省し、対策を練りました。まず、いちいち取り外していたものを衣装に縫い付けてもらい、ひとまとめにしました。次に、帯を結んでもらっている間に鬘を被るという手順を考え出しました。そして、僕はずっと棒立ちのまま、衣装の段取りの総てをお弟子さん達と衣装さんに任せたところ、見事に上手く納まり、時間内に仕上がりました。本当に、お弟子さん達・衣装さん・床山さんには、感謝感謝でございました。
無事にこんぴら歌舞伎が千穐楽となりました。毎日舞台に出るのがとても楽しい一ヶ月でしたが、あっと言う間に終わってしまいました。
毎年琴平の皆様は、この歌舞伎公演を心より楽しみにしてらっしゃいます。僕自身、大役を勤めさせて頂く事は大変プレッシャーでもありましたが、地元の方々の大いなる期待を背負いつつ芝居をする喜びもあり、毎日ワクワクしていました。今回はメンバーも若手中心でしたので、終演後もみんなで一緒に御飯を食べたりボードゲームをしたり、とても良い雰囲気で、東京へ帰るのが嫌になりそうでした。
でもいつまでも浮かれてはいられません。東京に帰ったら、すぐにラジオの収録や5月歌舞伎座の稽古が始まります。気持ちを切り替えて、また一ヶ月間頑張ります。
琴平の皆様、大変お世話になりました。ご尽力有難うございました。またこんぴら歌舞伎に参加させて頂ける日を、心から楽しみにしております。
いよいよこんぴら歌舞伎も千穐楽が近づいて来ました。
今月は本当に良い勉強がたくさん出来ました。出演者の皆さんとも多くの時間を一緒に過ごし、すごく楽しくやって来ました。東京から菊五郎のお兄さんもわざわざ観に来て下さって、とても嬉しく、感激でした。初日の頃はどの役もまだまだ落ち着かず、ひたすら一生懸命な思いでしたが、最近になって徐々に劇場や場の雰囲気にも慣れ、少しはリラックスして演じられる様になって来ました。
でもやっと慣れて来て、さぁまだまだこれからって時に千穐楽になっちゃうんですよね。大役をさせて頂いた時って、いつもそうなんです。芸の道のりは果てしなく長いって事ですね。残り少ない日々ですが、最後まで向上心を忘れずつとめます。
では皆さん、来月は東京でお会いしましょう。
初日の終演後、こんぴら歌舞伎の関係者は一同に集まって、お花見をしました。
近年じっくり桜を眺めながら食事やお酒を楽しむ事をしてなかったせいか、なんだか凄くリラックス出来ました。夜桜の下で宴会をした後旅館の温泉に皆でゆっくり入って、心底幸せ感じちゃったなんて、とても贅沢ですね。そのおかげが、今月は身体の調子が良い気がします。このまま千穐楽まで元気にやって行きたいです。
野球もしました。地元のこんぴら歌舞伎関係者の方々と出演者とで、混成チームを作っての試合でした。とても広く雰囲気の良い球場で、ちょっと気温は低めだったものの、気分は上々でした。試合はかなりの接戦で、最後に逆転サヨナラ負けをしましたが、皆で楽しくプレイ出来ました。
無事こんぴら歌舞伎の初日が開きました。前日、出演者一同は人力車に乗り、琴平市内を「お練り」させて頂きました。
予想をはるかに越えた大勢の方々が来て下さいました。お練りは初めての体験だったのもありますが、そのにぎわいぶりにたいへん驚きました。街の皆さんが笑顔で大歓迎して下さって、毎年のこんぴら歌舞伎をとても楽しみにしていらっしゃるのを、ひしひしと肌で感じました。改めて、舞台に向けて気合が入りました。
気合と緊張で、初日前夜は眠れませんでした。でも初日の幕が上がり舞台に出て行くとお客様が大拍手で迎えて下さり、とても嬉しくホッとしました。
舞台から眺めていると、本当に楽しそうなお客様の観劇姿が拝見出来て、歌舞伎役者をやっていて良かったと痛感します。まだ先の長いこんぴら歌舞伎ですが、頂戴した大役を全力投球でつとめようとの決意を持ってのぞみます。
