「新秋九月大歌舞伎」は本日無事千穐楽を迎えました。今月は頂戴した三役のどれもがたいそうやりがいのある役で、とても充実した一ヶ月でした。
「葵御前(源平布引滝)は最後まで苦しみました。今回の経験を経た後、次にまた同じお役を演じる機会を頂いた時、どのような進化が遂げられるか不安でもあり、楽しみでもあります。
禿(枕獅子)は、毎日趣向をこらしてつとめても満足し切れなかった箇所がいくつか残ってしまい、「まだまだ踊り足りない」というのが正直な感想です。もっとしっかり踊り込んで、自分自身に与えた課題を解決したかったです。
求女(加賀見山)のお役を頂いたのは二回目でした。爽快に幕を閉める重要な役どころですので、しっかり役割を把握してお客様に気持ち良く見終わって頂ける様、精一杯つとめさせて頂きました。でも今振り返ると、もっと違ったやり方があったのでは?と考えてしまいます。
今月沢山の紆余曲折を経験し、演劇には答えも無ければゴールも無く、永遠に何かを目指して変化し続けていくものなんだという事をつくづく感じました。そうであるからこそ、観る側も演じる側も面白いのだと思います。だから僕も立ち止まる事無く走り続けなければ!
今月は昼の部「源平布引滝」で、葵御前というお役を勤めさせて頂き、時代物の難しさをいやという程痛感する日々を過ごしています。
「身分が高い大人の女性で妊娠中」という設定には、お役を頂戴した時点から戸惑っていました。初日の頃は先輩に指導頂いた事柄をこなすので精一杯だったのですが、慣れて来た今、冷静に自分の演技を分析してみると、まだまだ改良点だらけなのは明白です。何をどう変えれば良い方向に向かうのか、苦しみもがきながらいろいろと試しているところです。
大詰では、出産を終えた葵御前が赤子を抱いて再登場します。親の役というものは、実際に自分が子供を持つ身になった際、それまでは気づきもしなかった事柄に気が付いて、違った感情が芽生えるんだろうなぁと思いました。そうなった時が楽しみです(いつの事でしょう)。
今月は、現在の自分が出来る精一杯を千穐楽までやり続け、新しい何かを掴めたら最高ですね。さぁ頑張ろ!
今月の舞台もそろそろ中日近くなって参りました。楽屋入りしてから終るまで終始支度に追われっぱなしですが、初日頃に比べると一日の流れもスムーズになってきています。
舞踊「枕獅子」も慣れては来ていますが、まだまだ沢山改善の余地有りの状態で、毎日どうしたら良いか考え工夫しながら勤めています。
話題を変えて、ここからはプライベートな話をいたしましょう。先日中目黒(東京都目黒区に在る住宅街)で食事をする機会がありました。自宅も近いし雰囲気がとても落ち着いていて、僕はすっかり中目黒という街が気に入ってしまいました。銀座で生まれ育ったとはいえ、僕は賑やかな場所はあまり得意ではなく、静かでゆったり落ち着くことの出来る街が好みなのです。そんな僕にとって、中目黒は嬉しい発見でした。これからじっくり探索して、隠れた名店を探し当てようと計画しています。
一昨日、新橋演舞場の初日が開きました。今月頂いた三役はすべて大役なので、責任の重みを感じています。
なかでも難しいのは葵御前(源平布引滝)と禿(かむろ)(枕獅子)です。
葵御前は位の高い奥方なので、落ち着いていなければなりません。その様な状況でしっかりと気持ちを表現する事が要求されるのですが、これがひどく難しいのです。気持ちだけで言ってしまうとセリフのスピードが早くなりがちで、時代物っぽくならず、気品が失われる恐れがあります。逆に気品ばかり気にしてしまうと気持ちが伝わりにくくなり、ただセリフを言っているだけに見えてしまいます。そのあたりのバランスが悩みの種です
禿は本来は子供のお役です。身体の大きい僕にとってはどうやってあどけなく可愛らしく見せられるか、そして優雅に踊れるかと課題だらけで、今月一番の難関です。
でもこうして大役を頂き悩み苦しむ事は、とても幸せな事だと感じます。そしてこういう時こそ、ファンの皆様の応援が必要不可欠です。是非新橋演舞場に来て下さい!
